「五感で走った北海道」がアウトライダー誌に!

バイクツーリングの人気雑誌「Out Rider」の最新号vol.88に「五感で走った北海道」が掲載されました。同雑誌に掲載されるのは昨年の「四国八十八ヶ所・お遍路の旅」に続いて2度目です。ツーリングは旅先での一期一会。どんな感動も過ぎ去ってしまうものです。少しでも写真や言葉に残すことで過去として区切りがつき、新たな旅への想いが生まれます。

2017.12.22発売のアウトライダー誌

読者のツーリングレーポートにカブ太郎シニアが掲載

まもなく2017年も終わり、新たな年を迎えます。私は現在、地図を見ながら次のツーリングを計画しています。
みなさま、よいお年をお迎えください。
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五感で走った北海道(その12・最終回)

平成29年7月18日、ツーリング10日目。小樽駅前のライダーハウスで朝を迎えた。未明に鳥の啼き声を寝袋の中で半分眠りながら聞いた。カラスと違う啼き声だ。街の中で何の鳥だろう? 甲高く、どこか尖ったように聞こえるのはカモメかウミネコだろうか?海が近いためそれも不思議ではないだろうと一人で納得した。そして、今日の朝はゆっくりしようと寝返りをうった。それというのも今日で北海道の旅を終えて、小樽港を17時に出航するフェリーに乗る。それまで一日のんびりしようと決めたからだった。乗船チケットは、昨日の夕方、小樽に着いてすぐにフェリーターミナルに寄って買ってある。順調にいくと、明日の午後には自宅に帰ることができるだろう。今回のツーリングは、いつものように詳細なスケジュールは持たず、その日その日の気の向くままに、おおよそ二週間ぐらいで帰ると家人に伝えていた。そこからするとまだ北海道を回ることもできたのだが、先日、家から電話があり、それで小樽港からの出航を決めたのだった。それは、数ヶ月前に公共放送局の番組モニターに応募していたものが、ツーリング中に採用の通知が来て、委嘱の手続き期限が迫っているとの連絡だった。小樽から南下する考えもあったが、以前から寄りたいと思っていた所は全て回ったので、今回はここが潮時と思った。
さて、今日の午前中は、小樽から積丹半島まで走って再び戻る半日コース。午後は、フェリー乗船まで小樽運河を散策することにした。ライダーハウスでの同室の二人を見送った後、午前9時に出発した。小樽から余市までは国道5号を、そこから道道229号を積丹町まで走った。この間の道路は、変化にとんだ海岸線を縫うように走り、海岸にせり出している岩山を貫くトンネルが数多くある。トンネル内での原付バイクは緊張を強いられるが、そこを過ぎると新たな景色が現れる。日本海の荒波で浸食された急峻な岩場や小さな漁港をいくつか通り過ぎた。岩場の海岸で目につく蛍光色ののぼり旗には「密漁監視中」の文字、アワビやウニが採れるらしい。

積丹半島をめぐる道は侵食された岩場とトンネルが続く
小樽に戻る時間を考えて、「ここまで!」と決めたのが積丹町の小さな漁港。イカ釣り船が係留されている波止場で一休み。そこに丁度、小さな漁船が入って来た。船員は3名。波止場で着く早々に、60代くらいの年配者の指示で、20歳代の若者が素早く胴長靴をはき、機敏に動き回っている。親子なのか雇われた人か判断つかないが、そのキビキビした動きは見ていて気持ち良い。岸壁にはイカ釣り船も係留されているがそこには人はいない。集魚灯の電球が祭りの提灯のように一列に吊るされている。深夜の漁なので人も船も休んでいるのだろう。そんな小さな港に身を置いていると、自分が旅人であることを実感する。

 積丹町の小さな漁港。今回の最終地となった。
さて、時刻も昼ごろになり、同じ道を小樽に向かった。またトンネルと急峻な海岸が断続的に続く。それが市街地の様相に変わると余市の街に入る。ウイスキーと林檎で有名だが、林檎畑は見当たらない。きっと海岸から遠く離れた丘陵地にでもあるのだろう。その余市を過ぎると間もなく小樽市街に入った。フェリーの乗船まで十分に時間があったので、小樽運河周辺を散策することにした。北海道有数の観光地とあって、運河沿いの歩道は観光客でいっぱい。それもほとんどが外国人。実はこの日、小樽港に豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号が寄港していたのだった。1,337部屋もある世界14番目の大きさ。この乗客が観光していたものだろう。この客船は、日本の主な港や沖縄、台湾、韓国を中心にクルージングしている。費用も昔から比べるとだいぶ下がっているようだ…と言ってもスーパーカブにテントを積んで旅する私に、豪華クルージングの機会は縁遠い。せめて長距離フェリーでクルージングの気分に浸ろうかと、早めにフェリー埠頭に向かった。

 外国人観光客で賑わう小樽運河
午後4時にバイクの乗船が始まった。傾斜のあるタラップを登って船内に入る。船員の指示で所定の場所にカブを停める。駐車デッキの側面に並んだバイクは20〜30台、そのほとんどが大型バイクで、原付・スーパーカブは見当たらない。夏休み前のこの時期は、ライダーの多くは50歳代か60歳代。荷物を持って客室デッキに上がり、指定された部屋を探す。部屋といっても安価な「ツーリストA」なので、2段ベッドの1段をボックスにしてカーテンがあるだけ。でも、清潔で昨日のライダーハウスより落ち着ける。船内を眺めている間に出港の17時になった。フェリーはゆっくりと岸壁を離れ、次第に速度を上げていく。曇り空の下に小樽港が遠ざかっていく。全長290メートルの豪華客船は停泊したまま、街並みとともに小さくなっていく。出港から2時間ほど経った19時10分、空一面が暗灰色の雲で覆われた中で、雲が切れた遠い西の空だけがオレンジ色に染まり、陽が沈もうとしていた。

17:00小樽港を出港 明日の9:00には新潟港に着く

新日本海フェリー ツーリストA

 19:10 フェリーから望む夕日が見送ってくれた
私の今回のツーリングも終えようとしている。この10日間、荒涼とした原野、開拓村、漁村、風光明媚な観光地、自分が住んでいる町にどこか似ている活気に乏しい町…これらの場所を走り回ってきた。そこに求めていたものは、日常では得られない冒険や非日常だった。でも結果はどうだろうか? 日本国内どこにいってもコンビニがあり、ガソリンスタンドがあり、道の駅のお土産も似たような物…日本国内ではもう、冒険や非日常を求めても無理なのだろうか? その答えは今回の「五感で走った北海道」で見えた気がする。特筆すべきものがない風景、どこにでもあるような集落、個性が見えない街並みでも、気持ちにゆとりを持って走ると、思わぬ発見がある。それが非日常であり、冒険にもつながることを今回のツーリングで得た。その大きな役割をしたのがスーパーカブだった。そのスピードはジョギングをしているような感覚で、道沿いのチョットした発見でもストレスなく寄り道することができた。そこにツーリング(旅)の広がりと深まりが生まれてきた。ジョギング感覚で走ると風景もゆっくり流れ、視覚も聴覚も、臭覚でさえ、それまで捉えられなかったものが見えてくる。まさに五感に刺激を受けながらの旅だった。
心に残った光景4コマ

富良野

富良野 へそ歓楽街

美瑛町

サロベツ原野
 この10日間は、心身とても快調だった。テントでの野宿も続いたが、家にいる時より体調は良かったほど。明日の今頃は自宅で、いつもの生活に戻っていることだろう。それでは、次回の旅まで、しばらくさようなら。

五感で走った北海道のコース

(日程)
7月 9日 自宅〜秋田県能代市内 キャンプ場
7月10日 能代市〜青森港〜函館港〜大沼公園キャンプ
7月11日 大沼公園〜室蘭〜苫小牧〜安平町鹿公園キャンプ場
7月12日 安平町〜留萌〜苫前夕陽ヶ丘キャンプ場
7月13日 苫前〜稚内〜宗谷岬〜枝幸町はまなす交流広場
7月14日 枝幸町〜サロマ湖〜網走〜斜里町クリオネキャンプ場
7月15日 斜里町〜知床峠〜標津〜中標津〜足寄里見ヶ丘公園
7月16日 足寄〜狩勝峠〜富良野(駅前旅館泊り)
7月17日 富良野〜美瑛〜旭川〜滝川〜小樽(ライダーハウス泊り)
7月18日 小樽〜積丹半島〜小樽港(新日本海フェリー泊り)
7月19日 新潟港〜山形県/自宅
(走行距離)
2,482km
(費用)
ガソリン代 4,561円(35ℓ 約70km/ℓ)
フェリー代 19,280円
宿泊代 7,000円(旅館1、ライダーハウス1、キャンブ場2)
食事その他 22,159円
合計 53,000円

※ 次回ツーリング予告 !  2018年春、九州方面
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