五感で走った北海道(その4)

7月11日、ツーリング3日目。東大沼キャンプ場で朝を迎えた。キャンプでのツーリングは早立早着に心がけている。登山と一緒である、と言っても今日一日の晴天を約束するようなキラキラする光が漏れる木立の中にいると、テントをたたむ作業もゆったりしてくる。何の野鳥か知らないさえずりも聞こえる。駐車場には、昨日のワゴン車のほか乗用車5、6台と大型バイク4台があった。カブの隣に停めてある2台バイクは60代後半と思われる男性2人がそれぞれ荷物を積み終わり出発しようとしていた。簡単なあいさつをして見送った。私も荷物を積み終えると、名残りを惜しむように駐車場を一周してキャンプ場を後にした。湖畔の道路を半周し函館本線(大沼回り)の踏切をわたると間もなく国道5号に出る。そこから噴火湾沿いに長万部方面に向かう。海岸線のそばを通っているが、両側の樹木が深く海は見えない。ほとんど直線の道路は走りやすく、110ccの原付カブとはいえ車の流れに乗って走れる。

大沼を周回する道路

 函館本線(大沼回り)の踏切をわたると間もなく国道5号

出発から2時間で長万部を通過した。長万部は人口6000人を切った小さな町だが、覚えやすい名前のため頭に残っている。昔、初めて日本地図帳が学校教材になった小学生頃、クラスメートと面白い名前の土地を探すことに夢中になった時があった。何と言っても北海道がダントツであった。長万部とともに今も頭に残っているのは「ウペペサンケ山」である。同じクラスにいた三瓶という女の子とつながってしまって笑い出したこともあった。また、長万部は三木のり平が一発芸と言ってよいのか「オシャ・マンべ!」と変なアクセントをつけて笑いをとっていた時もあった。タケシの「コマネチ!」より前だと思う。その長万部を過ぎて室蘭を目指す。途中、洞爺湖の近くを通るが湖には寄らずに先を急ぐ。実は、昨日あたりからスーパーカブのエンジン付近から気になる唸り音がするようになっていた。それもアクセルを戻した時だけ音が出る。もしやと思ってバイクを停め、チェーンのケースの点検窓を開けチェーンの張りを見たところ、パンパンに張り過ぎていた。チェーンに遊びが無いことが唸りの原因とわかった。このツーリングの前に行きつけのバイク屋でブレーキシューの交換とチェーンも調整してもらったばかりだったのに。おかしい。考えてみると、荷台のボックスや荷物を積んでいない状態での調整だったので、重量物を積んだ後スプリングが沈みチェーンが張り過ぎてしまったのだ。今回のツーリングで持ってきた工具にシャフトナットに合うレンチを持ってこなかったので、バイク屋を探すしかない。そこで次の町の室蘭に急いでいる。正午過ぎに室蘭市街に入りバイク屋を探すと、丁度よくバイク販売店があった。「昼時にすみません。実は‥」とお願いしたところすぐに調整してくれた。工賃540円で済んだ。再びバイクを走らせると異音はしなくなった。気のせいかエンジン音も軽やかに聞こえる。やはり、機械も人間も遊びは必要なのだろう。張りつめたまま走り続けるとエンジンにも無理が加わり、いずれチェーンは切れただろう。

 室蘭市内のバイク屋で張り過ぎたチェーンを調整してもらう
さて、昼も過ぎたので今日のキャンプ地を決めなければ‥ 距離や地図に載っているキャンプ場を見て、苫小牧から北に25キロメートルほど離れた安平町(旧追分町)の鹿公園キャンプ場に決める。室蘭から苫小牧までの原野を走る国道36号は直線で走りやすい。

「かに御殿」という巨大なクマが屋根に乗っている食堂もこの沿線にあった。
さて、苫小牧市街に入り幹線沿いのラーメン店に入る。遅い昼食になったが、空腹には全国チェーンのラーメンも美味しかった。レジで二十歳代の女性店員に追分町に向かう道順を聞いたところ「追分高校は私の母校なので、よく知っているんですが‥ここから行くとなると‥えーと‥」急な質問にまごつきながらも丁寧に教えてくれた。そして、夕方6時前には今日のキャンプ地である鹿公園についた。この公園は安平町立の有料キャンプ場で公園内のログハウスが管理棟になっており申込書を記入する。テント1張り500円であった。近くに日帰り温泉もあるがあいにく休館日であった。残念。夕方から雨が落ちてきたので、バイクは東屋の下に停め、近くの桜の樹の下にテントを張った。駐車場は広く近所の子供たち5、6人が遊んでいた。夏休みが近いからだろうか声に元気がある。

 鹿公園の入口

 鹿公園のキャンプ場

今日は大沼公園から安平町まで走った
 今日は260キロメートル走り心地よい疲れの中、テントの中で雨音を聞きながら寝袋に入るのであった。 この続きは(その5)で‥

/トップページ戻る/