7月12日、ツーリング4日目。安平町の鹿公園キャンプ場で朝を迎えた。昨夜の雨は夜半に止んだのだろう、広い駐車場に水溜りは一つもない。公園には散歩する人も1人、2人見える。テントを乾かしているところに60代と思われる散歩中の男性が声をかけてきた。「バイクで旅行中ですか。いいですねー。私もやりたいなー、でも女房がうんと言わないなー 自衛隊を定年で退官してから、女房と車で旅行はしたんですが、腰が悪くなってから長距離はちょっと‥」「ここは良い公園ですね、設備が整っていて」と私、決してリップサービスではない。トイレは広く綺麗でウォシュレットも付いている。今朝使った実感だった。さらに日帰り温泉も近くにあるなんてツーリストにとってはありがたい。そんな会話をして男性は公園内の散歩コースに向かった。荷物を積み終えた7時45分、誰もいない駐車場を一回りしてから次の目的地に向かった。
悠々と流れる石狩川
目指すのは最北端の宗谷岬だが、途中で一泊が必要、どこのキャンプ場にするかは状況を見ながら臨機応変に行こう。進路を北に、岩見沢、滝川、留萌、稚内と向かう。ん! 滝川、留萌、稚内‥なんか聞いたことがあるぞ! 「♪留萌・滝川・稚内♪」歌の文句だ。何の歌だったかなー ハンドルを持ちながら口ずさんでいるうちに思い出した。北島三郎の「風雪ながれ旅」だ。「鍋のコゲ飯袂で隠し 抜けてきたのか親の目を 通い妻だと笑った女の 髪の匂いもなつかしい アイヤー アイヤー 留萌・滝川・稚内」(作詞:星野哲郎) 唄の世界ではあるが、今、スーパーカブで走っているこの道を、昔、盲目の門付け芸人が杖をつきながら北に向かったのだろうか。私もアイヤー アイヤーと口ずさみながら原付バイクに荷物を山と積んで走っていると、現代の門付けと間違われそうだ‥なんてネ。

道内に27箇所ある自衛隊駐屯地の一つ留萌駐屯地
その滝川の手前で「美唄」という町を通った。唄の上手そうな美人が歩いていないか眺めながら走ったが、それらしい人は見当たらなかった。滝川から留萌に向かう途中、平野を悠々と流れている石狩川を渡った。川幅も広いが川の両側に広がる葦原も広大だ。大きく蛇行する川を見ていると自然の大きさが感じられ、流域面積が利根川に次いで全国二位もうなずける。国道233号の美葉牛峠を越えると日本海に面した留萌市に入る。さて、今日のキャンプ地はどこにしようかなどと考えていると、国道脇のグランドにカーキ色の多数のテントが張られているのを目にした。はて? バイクを停めてよく見ると大型ヘリコプターもある。陸上自衛隊留萌駐屯地であった。グランドに所狭しとテントが張られているのは何かの訓練なのだろうか。言わば野営のプロ集団である。今日はどこのキャンプ場にしようか‥などと考えている私はアマチュアである。調べて見ると道内には27もの駐屯地があるではないか。

留萌から国道232号を北上するとオロロンライン
さて、その留萌から日本館沿岸に沿って走る国道232号をひたすら北上する。日本海オロロンラインと呼ばれる快適なコースだ。青空のもとフラットな海岸線沿いの国道をひたすら走る。海と反対側は原野の丘陵で同じような風景がどこまでも続く。やがて道の駅「おびら鰊番屋」が見えてきた。休息しながらニシン漁で栄えた頃の展示品を見た。改めて知ったが、大量に獲れたニシンの大半は天日乾燥して肥料として本州に送られたとのこと。田畑の肥料にしたとは今考えるともったいない話だが、化学肥料がまだない時代には、食糧増産は富国強兵とともに国の命題だったのだろう。それと北海道に駐屯地が多いこととは関連がないと思うのだが‥
道の駅おびら鰊番屋の隣にある文化財「旧花田家番屋」
さて、今日のキャンプ地をどこにするか地図を見た結果、この国道232号オロロンライン沿いにいくつかキャンプ場があって、その中から、「とままえ夕陽丘キャンプ場」に決めた。町営で有料だが隣に「苫前温泉ふわっと」があり、4日ぶりで風呂に入ることもできる。午後4時にキャンプ場に着き、管理事務所で500円を支払い指定された場所にテントを張る。近くに、千葉ナンバーのハーレーで来ていた40代前半と思われる男性の先客がいた。彼もこれから北海道を回るというので、天候や愛車を話題に話をした。しばらくして話が途切れた頃合いをみて、夕食の買い出しに行く。初めての街でスーパーを探すのは時間の無駄なので、散歩中の女性に尋ねると「苫前にはスーパーは無いのよ。隣町に行かなければ‥」「コンビニは?」「セイコーマートならそこの道を曲がって‥」ということで北海道で最も多いセイコーマートで今宵のディナーを調達した。ちなみにセイコーマートは1,085店舗とセブンイレブンの949店舗を抜いている。
夕陽丘キャンプ場
キャンプ場の丘から見た苫前港
苫前温泉ふらっと。日帰り温泉を兼ねたホテル(パンフレットからの写真)
夕陽丘キャンプ場という名称からも高台から望む夕日に期待したが、水平線の雲が夕日を隠して、残念。夕食前にキャンプ場の隣にある日帰り温泉「苫前温泉ふわっと」で4日ぶりの風呂を満喫したあと、いつものようにテントの中で1人ディナーを楽しんだ。
本日の走行距離202キロメートル この続きは(その6)で‥